老子２

老子 (岩波文庫)

老子

水のように生きよ
上善水の如し...

[水のように生きる]
解説 歴史学者 蜂谷邦夫
■無為自然の思想
ただ何もしないこととは違う
常に無為にして而も為さざるなし
何も為さないことですべてのことをなす
作為を否定した思想
積極的に何かをなそうとするのは人間本来のことではない
そんなにあくせくすることは無い

■学を為す者と道を為す者
学を為す者は日に益し道を為す者は日に損す
勉強をするものはますます勉強しなければならなくなる
道を志すものはやるべきことは減りこころ穏やかになる

■欲望という付着物
学を断たば憂いなし
顕示欲、達成感、嫉妬心
欲望は付着物でありなくていいものなのである

■素朴な生き方
赤子のような無為で素朴な生き方が理想的だ
人間の本来のあるべき姿といえる
ありのままの自分...
無為自然の理想形を極端な例として示した

■上善は水の如し
水は善く万物を利して争わず
衆人の悪む所に処る故に道に近し
(徳のある人の生き方、万物を養い、
柔らかくしなやかで、自然に寄り添い、
人と争わない、水のように低いところに流れ、
威張らず、耐えず万物に施し、
見返りを求めない、水は万物をありのまま写し
うそ偽りがない...)

■柔よく鋼を制す
やわらかくよわくしなやかな生き方
天下の至柔は天下の至堅を馳ていす
無有は無間に入る
(最も弱いものが最も強い者走らせる、柔よく鋼を制す
水は決して壊れない、水は自分の弱さに徹底しているから)

■曲がれば即ち全し
柱にも船にも使い用がない木
役に立たないからこそ切られることなく大木になる
そして、旅人を休ませることが出来るのである

■イワンのバカ
無抵抗主義のおとぎばなし
悪魔が強欲の兄と仲違いさせようとイワンをそそのかす
イワンは欲がないので悪魔の画策は失敗する
やがてイワンとある国の王になる
平和に国をつくるが敵が攻めてくる
そして、対応として敵も歓迎し結果戦争を回避できた

＜感想＞
老子とイワンのバカのつながりには驚いた
東洋文化が西洋文化に与えた影響を文学作品の
内容から感じることが出来ることが嬉しい。