Riverside Learning LABO(Skill/Idea/Code)

よりよいシステムのため工学系と人間系の学習下書きメモ

読書『月と六ペンス』みえるものを描きたいだけだ…

「月と六ペンス」(p125)

「おれが他人の評価を気にすると思うか?」
「絵をみせてもらえませんか?」
「なぜみせなくちゃならん」
「買う気になるかもしれない」
「売る気にならないかもしれないだろう」
「儲かっているんですか?」 わたしは笑みを浮かべてたずねた。 ストリックランドはくすっと笑った。
「そうみえるか?」
「飢え死にしそうですね」
「飢え死にしそうなのさ」
「じゃあ、夕食でもどうです?」
「なぜおれを誘う?」
「善意からではありません」 わたしはそっけなく答えた。「あなたが飢えて死のうが、 どうだっていいんですから」
ふたたび、ストリックランドの目が輝いた。腰を上げていう。 「じゃ、いこう。まともな食事は久しぶりだ」

軽快な会話。ある日を境に絵を描きだした、絵を描くことに取りつかれた者の半生。
見たものを絵描ければ、何もいらないという常軌を逸した一貫性。
生きる糧を得ることと自分の作品を追求することは乖離することがある。選ぶしかない。選べない場合もある。