Riverside Learning LABO(Skill/Idea/Code)

よりよいシステムのため工学系と人間系の学習下書きメモ

変身1(近代社会の矛盾)

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

変身
著者:フランツ・カフカ
訳 :高橋義孝
解説:川島隆


#第一回:しがらみから逃れたい#
不条理小説の原点...
「人間は自分の中に不壊者ががいるということを
意識することなくしては生きていけない」


■あらすじ
ある朝目が覚めたら虫になっていた
Ungeziefer(役に立たない虫)
セールスマンであり一家の大黒柱であるグレーゴル
次の列車に乗って仕事にいかなければ・・・
妹のグレーテが面倒を見ることになる
壁や天井を這い回るのを楽しみはじめる
息子に会いにきた母親は変わり果てた姿を見て失神する
怒りを覚えた父がリンゴを投げつける
徐々にグレーゴルは弱ってゆく・・・
グレーゴルの収入がなくなり家族は働きだす
やがて間借人に空き部屋を貸すようになる
少しずつ家族の生活は前向きに・・・
ある日妹が間借人に演奏を披露する
演奏に失望した間借り人に苛立ったグレーゴルは外へ
間借り人たちは出て行ってしまう・・・
家族はグレーゴルはいなくなってもらうしかないと話す
翌朝グレーゴルはついに弱り切って死んでしまう
家族はグレーゴルの死を知る
家族は安堵の感情を抱く、郊外へ出掛ける・・・


カフカのプロフィール
プラハ大学で法学を専攻
大学時代に小説を熱心に執筆
労働災害保険協会に就職する
8:00-14:00まで仕事、以降深夜まで小説
孤独と絶望の文学と言われるが
気配りができてユーモアがある人だったという話


■ヘルマン・カフカとの関係
父親のヘルマン・カフカは貧困からのし上がった実業家であった
フランツ・カフカは生まれたときから裕福であった
周囲が貧しい中で豊かな暮らしをしている後ろめたさを感じる
父に逆らえないカフカは父に求められるまま官僚へ
だが小説家への夢はけっして諦めなかった...


■虫というアクシデント
厳しい仕事をやらなければならない
彼は怠け者だという人がいる
彼は仕事を怖れている人がいる
後者が正しく彼を評価していると言えるだろう


虫というアクシデントがなければ休めない近代社会システムの矛盾
社会が要求するものに答えようとする責任感の重さは
素晴らしいが行き過ぎると自己を苦しめる