Riverside Learning LABO(Skill/Idea/Code)

よりよいシステムのため工学系と人間系の学習下書きメモ

変身4(弱さが気づきを生む)

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

変身
著者:フランツ・カフカ
訳 :高橋義孝
解説:川島隆
   頭木弘樹


#第四回:弱さが教えてくれること#
不条理小説の原点...
「人間は自分の中に不壊者ががいるということを
意識することなくしては生きていけない」


■あらすじ...
グレーゴルは虫になって仕事にいけない
母親がグレーゴルを見て失神する
怒った父親がリンゴを投げつける
弱ったグレーゴルは息を引き取る
グレーゴルの死に安堵する
家族は郊外にピクニックにいく...


■弱いということ
弱いという事は悪い事だけではない
なぜなら弱いということで気づけるものだある
人の弱さを代弁してくれる作品
人の弱さが自覚できる人は共感するだろう作品
年齢に応じて登場人物の視点で見る事ができる


■優しさの中に含まれる残酷さ
家具を出して部屋を奇麗にした妹グレーテ
這い回るためにはスペースが必要で家具はいらない
ただそういう実際的なことだけではない
きっかけさえあれば気の済むまでやろうとしてしまう...
一層悲惨になればさらに尽くしてあげることが出来る


カフカの示す言葉
「将来に向かって歩く事は出来ません
将来に向かってつまずくこと、これはできます
いちばんうまくできるのは倒れたままでいることです」
フェリーツェへの手紙より
「ミルクのコップを口のところに持ち上げるのさえ怖くなります。
そのコップが目の前で砕け散り、破片が顔に飛んでくる事も
起きないとは限らないからです」
ミレナへの手紙より


■自虐の追求
弱いということは新しい事に気づける
弱さを手放さないようにしている
気休めが入っていない
葛藤がエネルギーになる
弱さを許容する世界
本当につらいときはそのままで良いということに癒される


カフカ結核
作家としても認められ始めた矢先に結核と判明する
結核は一つの武器です...
もう私が健康になることはないでしょう
結核になることで、一時的に俗世から解放される
代わりに幸せを感じて物が書けないくらいに...


■人生の光と影
できるだけ強いものが良いという
できるだけ明るい物が良いという
そうだとしてもその影も必要だ
現実には明暗ある
ポジティブな作品は輝いている
ネガティブで絶望的なものも人生に怒りうる
だからこそネガティブで絶望的なものも必要になる