Riverside Learning LABO(Skill/Idea/Code)

よりよいシステムのため工学系と人間系の学習下書きメモ

習熟度別学習

以前読んだ事柄について。
〜習熟度別授業と学力〜
経済協力開発機構OECD)の生徒の学力到達度調査(PISA)の結果と、国際教育到達度評価学会(IEA)の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果が出て以来、公式的に国は日本の学力低下を認めている。
そして、学力回復の手段として習熟度別授業が広く行われるようになった。

 習熟度別授業は生徒の到達度に応じて、その段階にあった指導を行うことで展開される。
厳しい国際競争のなかで画一的な教育を見直し、伸びる生徒を伸ばし、エリートを育て、わからない生徒もある程度の達成感を与えることを目的としている。
その習熟度別授業と大きく二つの形態に分けられる。

一つ目が単元全体を通した習熟度別指導で、テストを行いクラスの枠を超えて同程度の理解度の生徒が集める形態で、二つ目が通常のクラスで一斉指導を行い、単元の終盤で習熟度別に分け指導するというものだ。

二つの習熟度別授業の中で特に問題視されるのが単元全体を通した習熟度別授業だ。
担当した教師、有識者の意見には等質学力児の集団では考えや意見が偏り、理解が深まりにくい場合が多いというものがあった。
具体的には、上位グループは塾ですでに学習内容を学んでいて、授業が発展問題演習をするだけの場となる傾向があり、問題は解けているが、その本質的な意味を理解していないのにスピードのみを求めてしまっている。
本来ならば、到達度の低い生徒の疑問を一緒に考えたり、理解を助けたりすることで自己の理解も深まるはずだが、その機会が奪われている。
また下位グループでは、自己の能力を悲観して意欲を示さない生徒への対応、復習時間の比重が重く授業時間が足りないことが深刻な悩みとしてあげられている。
発展内容まで進めず、上位グループとの間に進度の格差が再生産されることとなる。
加えて、評価の仕方も難しい。すべての生徒に合わせてテストを作成すると、下位グループではほとんど扱わない発展問題も出さなければならず、下位グループが不利になる。
しかも、その結果は内申に記載され、入試に直結している。
 私は、異質な到達段階の生徒が共同で学び、活発な意見交換や問題提起、問題解決を繰り返すことで、学習内容の理解と対人能力、課題解決能力を高めることができると考えている。
よって等質学力集団を形成する単元別習熟度別授業には反対である。しかし、習熟度別授業自体は必要で、授業の進捗に合わせてクラスを崩さず行うことがのぞましいのではないかと考える。

参考文献 未来への学力と日本の教育2 
〜習熟度別授業で学力は育つか〜 編著者:梅原利夫・小寺隆幸