Riverside Learning LABO(Skill/Idea/Code)

よりよいシステムのため工学系と人間系の学習下書きメモ

読書 空気の研究

空気の研究
山本七平

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

本のSummaryを残す。
メモを助けには再読する

日本社会ではその時々において絶対的権限をもつ空気が存在する
数量化や相対化されず、論理による思考ができない自体に陥る。
日本では「水を差す」ことで空気による支配を防ごうとするが
水を差しでも新たな空気が現れて呪縛から逃れられない
空気の支配から逃れる方法はあるのか?
空気と水の相互呪縛から脱出するための打開策は?
...至るところで、何かの最終的決定者は人でなく空気であるといっている
ただ空気の責任はだれにも追求できない
空気なるものの正体を把握しておかないと、将来対処できない...

抜粋メモ
「霊(プネウマ)といった奇妙なものが自分たちを拘束して、一切の自由を奪い、
そのため判断の自由も言論の自由も行動の自由も失って、何かに呪縛されたようになり、
時には自分たちを破滅させる決定をも行わせてしまうという奇妙な事実を、
そのまま事実として認め、 「霊の支配」というものがあるという前提に立って、
これをいかに考えるべきか、またいかに対処すべきかを考えている...」
1章[空気の研究]
23人工空気醸成法を調べて成立過程を明らかにする
32日本人とユダヤ人の墓地発掘の例
33物質から何らかの心理的宗教的理由を述べる
39第三者(ヒト/モノ)に感情移入しすぎるのは、客観性を失うため危険である
41ギリシャ人は肉体を牢獄と見、そこに霊が閉じ込められていると見る
42カドミウム金属棒を手にすることによって一群の人間を支配することができる
45空気の1方向支配の例、2方向の例
46正義の仁愛軍VS不義残虐集団
51対立概念で対象を把握することが空気支配の一つ目の原則
52対策として、臨在感を歴史館的に把握しなおすことが空気支配の2つ目の原則
59明治的啓蒙家は根治でなく対処療法をした、あることをないことにしてあちこちに転移した
62空気支配を完成しようとする者にとって排除すべきものは対象を相対化するもの
63公害を絶対化すると公害という問題は解決できなくなるのである
64対象を相対化することによって自己を対象から自由にできるのが大人
69一神教モノティズムは神以外はすべて相対化して考える、空気に支配されにくく
74人間が口にする言葉は絶対化されるものはなく相対化されるべき
79聖書とアリストテレスで1千年鍛錬するとアングロサクソンができあがる
81聖書は2つの話、男女の作られ方、完成品と対となる試作品
87敵という言葉が絶対化されると敵に支配されてしまう

2章[水=通常性の研究]
91水とは通常、最も具体的な目前の障害を意味して、空気を崩壊させる
98伝統などは、いとも簡単に自己改廃できる
102酵素の作用=日本的無意識的通常性的作用
104空気の拘束とは虚構の異常性だったと気づく
108状況倫理、あの状況ではああするしかなかった...
111本来は行為のみを取り出して悪を規定すべきだができていない人々
112状況倫理は自己意志の否定、行為の責任への否定
114固定倫理、固定的規範は人間を拘束するが、人間が関与して決めるわけではない
119状況がそれだけ異常だったとみなされる
125状況倫理にも支点は必要
127状況倫理は一人の絶対者と他の平等者となる、教師と生徒も同じ構図である
129さらに固定点は直接命令を出す必要もない
130ひとはめいめい自分の罪で死ぬ
133父は子のために隠し、子は父のために隠す
13630年前の日本では忠孝一致
137自由にしておけば自由を失う
149一億総状況倫理、虚構の状況が創立され、父と子の間で事実を否定し、秩序が保持された
150一国万民平等無差別は全体主義的無責任体制
154対象を絶対化して、分析を拒否して臨在感を把握する
160父と子の関係を拡大、個人と自由が奪われる、虚構の中に真実を求める社会になる
162演劇者は観客のために隠し、観客は演劇者のために隠す
169脱却する唯一の道は、あらゆる拘束を自らの意志で断ち切った思考の自由とそれに基づく模索
172空気と水なしに人間が生きていくことも精神が生きていくこともできない

3.[日本的根本主義]
179日本は汎神論的な世界に生きていて、天皇制も進化論も共存できる
186聖書絶対主義は神政制を指向する
196私を公然と悪魔だと罵った
200国民を拘束するのは神話であって事実ではない
203一体これはデモクラシーなのかセオクラシーなのか
206合理性は説明はしえても人は動かせない
207キリスト教伝統と西欧の憲法は分かちがたく結合している
207合理性だけ分離して日本に輸入した
209暮らしは高く、思いは低くになっていった
211教義の絶対化でなく日本では所属集団を絶対化するようになった
212矛盾した教義や理論を併存できる社会はなにが問題か
214持っている情報量と態度変更とは関連しない
216人は論理的説得では心的態度をかえない
217人は未来に触れられず、言葉でしか構成できないが構成してこなかった
218空気に支配されることは、やがて自身の首をしめる
219一度やけどしたほうが...

おわり